<教育講演1>

ストレッチングアップデート

-ストレッチングで“予防できるもの”と“予防出来ないもの”-

講師:中村 雅俊 氏

ー新潟医療福祉大学

 「じゃあ今からストレッチしますね」と理学療法士の先生なら一日一回,もしくは複数回,口に出している言葉だと考えられる.ストレッチングに関しては,多くは学生時代,もしくは成書で勉強しており,どのような方法で行うのか?やどれくらいの時間行うか?ということを学んでいると感じている.しかし,その情報は最新のものにアップデートされており,正しい理解のもとに理学療法として処方できているのか?と考えたことがあるだろうか?今回,ストレッチングを題材にお話をさせていただく機会を得たので,様々な面における“ストレッチングと予防”というテーマで以下の内容を時間の限り,お話したいと考えている.

 

1) 関節可動域を改善させるためのストレッチングの処方箋は?

2) 関節拘縮に対する治療・予防効果としてストレッチングの効果とは?

3) ストレッチングにより障害予防はできるのか?

4) ウォーミングアップ中のストレッチングの是非:筋力低下を予防するストレッチングとは?

5) ストレッチングにより筋力増強・筋肥大効果は生じるのか?

 

 具体的には,ストレッチングの効果に影響を及ぼすパラメーターとして,ストレッチング時間,介入頻度,強度などが挙げられるが,これらのパラメーターがストレッチングにどのような影響を及ぼすのか?について紹介する予定である.また,関節拘縮や障害予防など,ストレッチングで期待できる効果の代表的なものであるが,その効果はどのようなものがあるのか?についても紹介する.加えて,スポーツの現場では,ストレッチング,特にスタティックストレッチングを行うことで筋力低下が生じるため,ウォーミングアップから取り除くべきであるという議論がされている.実際にどのような効果があるのか,その筋力低下を予防できるストレッチングの方法について紹介する.また,動物実験を中心にストレッチングによる筋力増加・筋肥大効果が紹介されているが,ヒトを対象に行われた効果についてご紹介する予定である.本教育講演を通して,ストレッチングという先生方がすでに知識も経験がある情報をアップデートしていただければ幸いである.