<大会テーマ>

共創による理学療法士の躍動

 

開 催 趣 意 

 

第27回 宮城県理学療法学術大会

大会長  渡邉 好孝

 

 第27回宮城県理学療法学術大会は、「共創による理学療法の躍動」を大会テーマとしました。

私たちはコロナ禍を経験し、さまざまな立場や役割を持つ方と力を合わせ新たな価値を見出すことを学んできました。理学療法と理学療法士に関わるすべての人々が‟身体、脳、空間、時間の制約からの解放された社会を実現”させ、躍動的に過ごせるようにと願いを込めたテーマです。

 少子超高齢社会によって社会保障費は年々増え続けています。厚生労働省ホームページ社会保障の給付と負担(マクロベース)2023年によると、年金44.8%、医療が31%、介護10.1%。つまり、社会保障分類(社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生)の社会保険が大部分を占めています。国内総生産(A)と給付費総額(B)との比較では、B/Aは2000年14.6%、2023年23.5%。社会保障給付費が増加し続ければ、国民生活が脅かされることになります。

 例えば2018年の社会保障給付費財源内訳を見ると、社会保険料が70.2兆円。しかし、年金と医療に絞ってみても約96兆円となります。つまり、社会保険料だけでは支えきれないので、国庫、地方負担などの税金や運用収入で不足分は補填されているのです。

 なぜなら、社会保障制度は、日本国憲法第25条『すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』。つまり、‟病気・けが・障害・死亡・老齢・失業などのリスクによって貧困になることを予防し、貧困者を救済するために、国が所得を保障したり、医療や介護などの社会的サービスを提供すること“としています。

 社会保障制度は憲法によって保障される国民を守る防衛ラインであり、‟国民が最低限の生活を送ることを守るためのセーフティーネット”なのです。社会保障給付費財源は、国庫、地方負担、社会保険料、運用収入等によるものです。当然、すべての国民にはそのための負担も課せられています。

 理学療法士のこれまでの働きは、主に社会保険の医療保険や介護保険で評価されてきました。これからは保健医療・公衆衛生分野での働きにも期待されています。   

人生100年時代、1億総活躍時代を支えるには健康を維持・増進し続けること、疾病の予防、介護予防、に努めることで、社会保障費は人の人生という長いスパンや、人の生活といった広い視点で有効に用いられると思います。

 共創には、専門職としての知識や技術や経験を土台として、自分の役割と他者の立場を冷静に的確に判断し行動できる能力が求められます。そして、良識と、社会性や人間力が高いことが飛躍のカギになります。

本学会の特別公演やシンポジウムなどを通して、個人の関心事を満たす参加から、社会課題の解決に向けた知見を得る参加としていただければ幸いです。

 笑顔が飛び交う学術大会にいたしましょう。

 

医療法人社団光友会、医療法人松田会

一般社団法人宮城県理学療法士会会長