教育講演1

新しい介護予防・フレイル対策を共創する―理学療法士が行うこと―


山田 実 先生

(筑波大学)

 3年間にも及んだコロナ禍を経て、介護予防・フレイル対策の重要性はこれまで以上に高まっている。この3年間、介護予防・フレイル対策の根幹とされる身体および社会活動は著しく制約を受け、身体機能は低下、要介護化を促進することとなった。一方で、これまで介護予防・フレイル対策の要とされる通いの場の参加率はコロナ禍の前の水準には遠く及ばず、未だコロナ禍の影響を受け続けている。ポストコロナと呼ばれる今、これまでの介護予防・フレイル対策を踏襲しながら、新しい価値を創造していくことが求められている。

 今、介護予防・フレイル対策領域におけるセラピストの需要および期待度は高まり続けている。この10年だけみても、介護予防領域で活躍するセラピストは激増しており、その経験値や専門性は飛躍的に上昇した。それに伴い、これまでの「リハビリテーションの知識を地域へ還元」から「リハビリテーション専門職が有する介護予防・フレイル対策の知識を地域へ還元」へとシフトし、セラピストへの期待度も高まっている。

 このように、社会的に介護予防・フレイル対策のニーズが高まり、特にセラピストへの期待度が上昇している中、セラピストが有しておかなければならない考え方とは何か。本教育講演では、最新の知見や大規模データから読み取れることを整理しながら、新たな介護予防・フレイル対策を共創したい。